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How to Cosplay

平成から令和へと変わる時代と共に移り変わるコスプレ事情

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コスプレする環境が大きく変わった平成30年間

ゴールデンウィーク10連休が終わりますと、"令和"フィーバーも一段落した感があります。
この連休中も平成から令和をまたぎ、幕張メッセを始めとしてお台場や池袋など、様々な場所でコスプレイベントが開催されていました。

5/1には令和へと一つ時代が進み、昭和の時代がまた遠くなりました。この平成という30年間でコスプレは大きく変わってきましたので、少し振り返り今後を予想してみましょう。

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コスプレ 歴史 ヒストリー

今もなお人気が高い2000年以前のゲーム系のコスプレ、イベントでも見かけることがあります。

昭和の時代にコスプレは「痛い趣味」と言われ、イベント会場内の閉鎖された建物・敷地内でのみ行われる程度でした。

コスプレイヤーであることを学校の友達、職場の仲間には言えず、場合によっては家族にも隠しているということが当たり前でもあったわけです。写真は当然フィルムで印画紙に焼き付けるもの、撮影をしても現代のように拡散することはまずありませんでした。

当時の大人達の間でコスプレと言えば、キャバクラや風俗で女性のコンパニオンがセーラー服・ナース服・婦警さんなどの職業制服を着て接待をすることであり、性的ないかがわしいサービスの代名詞でもあったのです。

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この流れが変わったのが、1995年に放映された『エヴァンゲリオン』です。

1980年代までの『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』が第2世代アニメと呼ばれるのに対して、『エヴァンゲリオン』は第3世代アニメと呼ばれ後のアニメに様々な影響を与える作品となります。

社会現象化した『エヴァンゲリオン』は一般誌やワイドショー、報道番組などに取り上げられたことにより一般の人々への認知が進みます。
これにより若手芸能人が自らを売り込むために、エヴァキャラクターのコスプレで番組に出演するようになったのです。

これと時を同じくして、エヴァよりも少し上の年齢でガンダム世代のお笑い芸人などがアニメ好きでオタク、ガンダムのファンであることを公言するようになります。アイドルや俳優ではまだイメージが崩れることから難しいことでしたが、お笑い芸人であれば親近感を演出できたのです。

これで、TV番組には『エヴァンゲリオン』や『ガンダム』等のコスプレで登場する芸能人を目にする機会が多くなりました。これに引っ張られるように、平成の始まりとともにコスプレ人気は高まっていくのでした。

ニコニコ超会議2019 平成から令和へ

コスプレの一般化をネット通販の普及が後押し

1995年にはコスパがコスプレ衣装の通販を開始いたしますが、それでもまだ衣装は自作がメインであり購入派は邪道とされていました。衣装価格が今よりもはるかに高価であったことも、邪道と言われる理由の一つです。

このためコスプレは衣装の自作が出来る人、つまりは裁縫の心得がある人もしくはそういった友達が近くにいる人しかできず、まだまだハードルは高かったのでした。

そんな時代、2000年にYahoo!オークションが開始され、個人制作のコスプレ衣装が誰でも簡単に販売出来るようになります。

ワンポイント

それまではHTMLが書けてHP制作スキルが無いとネット通販(Mail受注)はできませんでした。現在のような簡単なツールが揃っていた時代ではありませんでした。

これにより、友人からコスプレ衣装の制作を請負っていたコスプレイヤーさん達が、こぞってヤフオクでの販売へと進出したのでした。この時、コスパの衣装が6~10万円で販売されていたのに対して、ヤフオクで取り引きされる個人制作あるいはサークル製のコスプレ衣装では、コスパ製の価格を基準にしてオークション形式で値段が吊り上がるため価格帯は3~5万円が中心でした。

友人にコスプレ衣装を作ってもらったら価格はいくら?

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2005年頃になりますと、この高価格に注目した中国の縫製業者が大挙して日本のコスプレ衣装の市場、ヤフオクへと乱入してきます。

これで供給過多となったコスプレ衣装の価格は3万円から1万円以下へと大暴落・・・だけであれば消費者は喜ぶのですが、価格競争により品質も下げられ衣類として機能しない粗悪品の衣装が大量に出回るようになり、出品者を信用できない混沌とした市場へと変貌します。

ココに注意

オークションは、価値ある1つの商品を複数の「欲しい」と言う人が取り合うことから価格が吊り上がるのです。供給過多となれば、当然ながら競合が発生しないため価格は暴落します。

混沌とした市場は数年もしますと、異業種参入組や粗悪なオークション出品は淘汰され、中国の縫製業者は独自にオリジナルドメインでのブランド構築のための通販ショップを立ち上げてくるようになります。

この平成の時代にコスプレ衣装は競争によって、

  • コスプレ衣装が1万円以下で買えるようになった
  • 通販で簡単に買えるようになった
  • メジャーからマイナーキャラまで種類が増えた
  • サイズオーダーやフルオーダーがし易くなった
  • ウィッグやブーツなど周辺小物まで一括で全て揃う

コスプレ衣装の通販ショップが増え低価格化することにより、2000年以前に比べて大幅にコスプレをすることへのハードルが低くなりました。

これまでは、コスプレをするのには一大決心が必要で、戻ってこられない世界へ足を踏み入れる感覚があったのですが、今では気軽に今週末コスプレでもしてみようかなとできる環境にあるのです。これは、ウィッグの販売でも同じような動きであり、低価格化と共に最近ではキャラクターに合わせたカットまでして販売してくれるようになっています。

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次の令和の時代、コスプレはどうなる?

この平成30年間でコスプレを取り巻く環境は大きく変わってきたわけですが、

  1. 周囲の人の理解が得られ、興味を示してくれるようになった
  2. コスプレ衣装を始めとした資材が入手し易くなった
  3. 参加場所であるコスプレイベントが増えた

というようなことから、コスプレイヤーの人口も増えてきました。これが今、裁縫技術を持たない初心者でも、気軽に参加ができるようになっている大きな要因です。

今後もこの傾向は変わらず、若者人口が減っていくのに対して、コスプレ人口はさらに増えていくことになります。

参加のハードルを下げたのがコスプレ衣装の価格崩壊にあるのですが、少し前からこの中国製コスプレ衣装の価格が上昇傾向にあります。
これを顕著に表わしているのがアニメイト系コスプレ衣装ショップ「アコス」のコスプレ衣装価格で、ACOSが立ち上がった当初'09年頃の衣装価格は7,000円前後でありましたが、最近の衣装の価格帯は15,000円前後と倍へと上がっています。

同様に中国製衣装も、以前は安い物で5,000~6,000円程度から、1万円以下でそこそこの品質の衣装が入手出来ていましたが、最近ではある程度の品質を担保しますと10,000円は超えてくるようになってきています。

これは、中国の人件費の上昇が大きく影響しています。このため、今後は中国製は"安い"という固定した認識は改めた方が良さそうです。

この傾向は令和時代に入った今後も続くとみられ、特に懸念されるのが米中貿易戦争です。関税の報復合戦により、いろんな物の価格が上昇します。

衣料品は特にその影響を受ける分野で、中国から見ますとアメリカ向けの輸出では関税増で輸出量が激減します。そうしますと単価を上げなければ従来の売り上げ額が確保出来ませんから、値上げされるという流れになります。(人件費や機械設備は容易にリストラできません)

アメリカ向けだけが値上げ?いえいえ、会社全体として総合的に考えますから日本向けも値上げになるのです。一般衣料品が値上げされれば、コスプレ衣装も同じ事業者が製作していますから一緒に値上げとなるのです。

コスプレ衣装の価格が上がるということは、ただ値段が上がるだけでは買ってもらえなくなりますから、クオリティも合わせて追求していかなければなりません。

これにより、コスプレ入門者向けの品質はそこそこで低価格のコスプレ衣装と、ベテランレイヤー、ハイレイヤー向けのクオリティが高く複雑なコスプレ衣装へと二極化していくものと考えられます。

コスプレ衣装のクオリティが上がるのに伴い、3Dプリンターの普及(量産化が可能になる)などで武器や造形物のクオリティも広い範囲で上がると考えられ、ハイコスプレに関しては完全再現を目指す人が多くなると予想されます。

そうなりますと、大規模イベントなどでは再現性においての競争も激しくなるでしょう。

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同人からビジネス色をさらに強めるコスプレ

すでに一部の有名コスプレイヤーでは同人活動だけでなく芸能活動を行っている人がいますが、そこまでメジャーではなくても駆け出しの地下アイドルや声優などが宣伝のためにコスプレを行う例が今後も増えてくると予想されます。むしろ、この攻略ルートが鉄板にさえなるのではないでしょうか。

またゲームショウなどにおいては、ゲームメーカーがコスプレイヤーを宣伝でコンパニオンとして利用しています。コスプレは視覚的にも目立ちますから、注目を集めるのには最適なメディアでもあります。

このように、素人とプロの境目がここでも無くなるということになります。

この同人からよりビジネス色が強くなることで、「どのようにコスプレを見せるのか?」というようなことを考えるマネージャ、あるいはプロデューサー的な支援者が随行するケースが出てくると思われます。現に今でも、それっぽい人がイベントの撮影現場を仕切っていることがあるわけです。

これこそ、リアル「アイドルマスター」です。

さて、「令和」の時代のコスプレイベントは2020東京オリンピックのおかげでかなり変則的な開催となりますが、まだコスプレをしたことが無い人は少しだけ足を踏み入れて、従来のコスプレイヤーはハイコスを目指して質感までを含めた再現性を極めてみてはいかがでしょうか。


 

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