なぜ渋谷ハロウィンに人が集まるのか?
10月31日の夜、渋谷の街には仮装やコスプレをした若者達が集まって来ます。
集まった人数は公表されていませんが、2016年~は100万人以上がこの渋谷駅周辺のセンター街を中心とする一角に集まっているとも言われています。
ちなみに渋谷センター街から1本道路向こう側の区画は、閑散としていました。
今年2018年は、18時頃にセンター街で発生した火災のせいで消防車が集まり騒然とした雰囲気が興奮に拍車を掛けていました。
なぜ、平日の夜にもかかわらずこれだけ大勢の人が仮装やコスプレをして渋谷へと集まってくるのでしょうか。
ニュースなどでは、軽トラがひっくり返されたとか逮捕者が出たりなどが報道されています。
翌日の情報番組では、喧嘩をしている人やゴミの山が映しだされ、渋谷のハロウィンは怖いというイメージを持つ人も少なくありません。
テレビ報道は少しでも視聴者の興味を引くようにするため、目立つ一部を強調して報道します、そしてそのショッキングな映像を何回も繰り返して流すわけです。
普通に混雑して警察官が交通整理をしている映像を流しても、何ら面白くはないのです。
ですから強調されているほど、怖いイメージは実際にはありません、普通に女子校生などが夜でも歩けるわけですから。
ただし、これだけの人混みですから痴漢とかスリには気をつける必要があります。
この渋谷ハロウィンの参加者には、コミケ(こちらも大混雑します)のコスプレと同じ空気を感じたのです。
仮装・コスプレは非日常をまとうことでもあり、自分のキャラクターをハロウィンキャラクターでマスキング(上書き)できるという点です。
つまり自分が自分では無くなるわけで、普段は抑えているような欲求なども表に出すことが出来るようになります。
もしかしたら、この集団で奇声を発して盛り上がっている人達は普段は真面目に勉強や仕事をしているのかもしれません、ここぞとばかりに解放されているような感じがあります。
さらには、この日のために念入りに手の込んだメイクをして衣装を揃えてきており、誰かに見せたい評価されたいとこの街へ繰り出してきているわけです。
そこへ全く見ず知らずのグループから声をかけられ一緒に写真撮影を頼まれます、写真撮影=評価となりますからテンションは上がります。
仮装やコスプレが、交流を生むきっかけとなっている点は、コミケなどのコスプレイベントと全く同じ構造です。
普通に仮装をしていなければ、渋谷の街ですれ違ったとしても絶対に交流が生まれないグループ同士で、仮装がきっかけで声を掛け合い写真を撮り合う交流が生まれます。
この渋谷ハロウィーンに集まる人達はそういった非日常の空気を味わいに、そしてインスタ映えのする写真撮影の交流を求めて集まって来ています。
渋谷の商店街がこのイベントを敬遠するのは、"非日常"であるがゆえに通常の売り上げを確保出来ないからです。
日常の売り上げを遙かに凌駕する"非日常"が体験できるのなら、きっと大歓迎でしょう。
コスプレイベントと同じルールや手法が通用します
渋谷ハロウィンがコミケと同じ空気を生み出しているとなれば、コスプレイベントと同じ手法が様々な場面で通用します。
一つは、名刺や紹介プレートを作るということです。
そうすれば、イベント後にも交流が引き継げる可能性があり期待は広がるわけです。
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また、遠方に済んでいる場合などではイベント後もSNSをフォローしつつ、来年のハロウィンイベントで会う約束をしたり、偶然に1年ぶりに出合った場合などにはさらにテンションが上がります。
コミケはそれを40年前からやって来ていることになり、毎週末のように実施されているローカルなコスプレイベントでは同じことが毎週行われています。
イベント運営側においてもしかりで、コスプレイベントの運営手法を当てはめていけば、秩序のあるイベントへと組み立てることが可能になると見ています。
おそらくは、音頭を取るべき渋谷区役所にこのノウハウを知る人がいないと思われます。
現に、池袋ハロウィンや川崎ハロウィンでは秩序あるイベント運営が行われているわけですから。
同じように繁華街で街コスして楽しめるイベントへと、ルールが守られながら育っています。
渋谷区長の「代々木公園へ誘導・・・」の発言は、ここに集まる人達の想いが解っていないと言わざるをえません、誰が原宿へ行くのでしょうか?
10月31日の夜、代々木公園よりもずっと手前のNHK前でこのように閑散としている状況を見てから言って欲しいと思います。
ここには、コスプレの"コ"の字もありません。どこに仮装が集まっているんだ?というような、ほとんど人がいない状況なのです。
渋谷ハロウィンの問題点は、
- 局所(道玄坂下とセンター街)に人が集中することによる大混雑
- 更衣室の圧倒的な不足
- 写真撮影が可能なエリアが指定されていない(路上に写真撮影で人が立ち止まる→混雑の最大の要因)
- 商店街に何らメリットが無い(むしろ売り上げが減りマイナス)
これを解消しつつ、イベントコンテンツとして維持するためには、
- 渋谷駅東側~原宿にかけて、移動可能なエリアを拡大する
これなら代々木公園を撮影のためのエリアに指定できます、飲食をしない人はこちらへ - 更衣室を多数用意して分散配置することにより、参加者を渋谷の街全体に分散させる
更衣室の利用を有料(1,000~1,500円程度)とし、参加証(様々な特典あり)を発行する - 写真撮影が可能なエリアを公園内などに指定する
路上でのスナップショット撮影では、1~2枚の撮影ですぐに移動するように指導する - 商店街でお金を使うようなキャンペーンを各店舗に依頼する
例えば参加証に対して飲食費用を割引きする、オマケを付けるなど
などが、ザッと考えられます。
いろいろと調べていきますと、渋谷公会堂が現在のところ立て替え中で完成が2019年11月となり、来年のハロウィンには間に合わないこと。
更衣室として、このクラスの広いイベントホールが渋谷駅と原宿駅の間に必要です。
代わりになるのは、シダックスカルチャーホールでしょうかね。
まずは、商店街や商工会議所が中心となる「実行委員会」を作るところから始めるべきでしょう。