渋谷ハロウィン、変わらぬセンター街の混乱
今年もやって来ました、10月31日のハロウィン当日の夜。渋谷の街には、仮装した若者が集まり大混雑・大混乱です。
ハロウィンは31日の夜ですが、10月最終週の土日も渋谷の街は仮装した若者達で賑わっていました。
昨年の2018年は、酒に酔った若者が軽トラックを横転させて上に乗りボコボコにしたり、痴漢などで逮捕者が続出、これに対して今年の渋谷区ではこの日の酒類の販売を各店舗に自粛を要請、2019年6月に条例を改正し路上飲酒規制条例を成立させるなどの対策の効果からか、昨年よりはおとなしいハロウィンになったと言われています。
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イベントレビュー 渋谷ハロウィン2018
渋谷でハロウィン -概要- 10月31日、毎年ハロウィンの夜の渋谷の街では、仮装した若者が集まりコスプレ& ...
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それでも、全国ニュースになるような酒に酔って暴徒と化すのはごくごく一部であるわけでして、多くの若者達はシラフでも騒ぎたくてこのハロウィンの渋谷へと集まってくるわけです。
ただし、今年の渋谷ハロウィンで顕著に感じたのは、外国人が前年(2018年)に比べても多くなっているような印象でした。あちらこちらで中国語、韓国語が飛び交い、すれ違うのは欧米系の外国人が仮装したコスプレです。
日本人は少なくなっているかな、という印象を強く感じたのでした。あくまでもこれは私感であり、具体的にアンケートなどを取った結果ではありませんので断定はできませんけれども、日本人は飽きてきており海外に発信されるニュースで外国人が集まってきている、という傾向はあるとは思います。
ハロウィン夜の渋谷センター街、店舗にお客の姿なし
日本人が飽きてきている、というのは当然でもあります。集まってくる人は何をするわけでもなく、路上でグループごとに輪を作りおしゃべりをしているだけなのです。もしくは、大混雑で1m進むのにも苦労するセンター街を、ただ歩いているだけなのです。
これでは、2回目3回目(×年目)と何回か参加するにつれて、キャラクターが豊富なコスプレイベントとは異なり、ハロウィンキャラクターのみではネタ切れとなることは明白で、毎回同じ風景が繰り返されるのであれば飽きてきてしまうのは当然のことでしょう。
渋谷ハロウィンの狂乱ぶりが報道されるようになって4~5年でもありますから、日本人に対してはブームが一巡していてもおかしくはありません。
そして、毎年目立つのが飲食店の店舗には人がほとんど入っていないという事実です。
本来であれば、このような路上イベントでは場所を提供する商店街や遊興施設などの全面協力が必要不可欠であり、その見返りとして売り上げのアップがなければなりません。
ところがこの日の渋谷の商店は早い時刻に営業を終了したりして売り上げは激減、開店しているお店でも店舗前は大混雑でお客さんが入れるような状態では無く、外の喧騒とは別次元で店内は閑散としています。
商店街の人たちや渋谷区民は、口を揃えて渋谷ハロウィンは「大迷惑」と言います。渋谷区民の血税が使われ、税収など何ら実入りがないのですから。
渋谷区ハロウィン警備に税金1億円を投入、誰が得する?
渋谷区では、警察以外に独自に警備員を100人雇い裏路地の封鎖などを敢行、25機のやぐらを組み上からの監視を強化、その他にゴミ箱の設置などで1億300万円の予算を計上したと言われています。ちなみに昨年、2018年は専用のゴミ袋を作成したりゴミ箱の設置などで9000万円と言われていました。
ちなみにコミケの警備費用は3日間で約6,000万円、ゴミの処理費用は1,000万円程度と言われています。(実際には経費は非公開)
おそらくは警備範囲はコミケの方が広いはずで、しかも渋谷ハロウィンでは交通整理を行っているのは大半が東京都の公務員である警察官です、そのコストは別ということです。
今年の渋谷ハロウィンで多くのネット報道は1億円以上の支出を非難する論調ですが、この金額が妥当なのかどうかどこへこの金が流れているのかなどを考察している"まとめサイト"などは皆無です。
こちらもちなみに、渋谷区長並びに副区長は博報堂の出身です。これは経歴にもしっかりと書かれています。
「1億円をかけた意味無し」と巷で言われている状況については、それだけ渋谷区民や都民が予算投入の効果を実感できなかった、ということになります。民間企業ならば、担当者は解任され左遷も覚悟しなければならない結果であるとも言えます。
来年の渋谷ハロウィンへ向けて課題は?
昨年まで右肩上がりで伸びてきて、バレンタインを抜いたと言われていたハロウィン商戦の経済効果が、2019年は前年を下回ったと言われています。
経済効果が頭打ちということは成熟しきったとも言えるわけでして、今年2019年の渋谷ハロウィンが前年に比べて多少落ち着いているのは、これのせいと考える経済評論家もあります。そうなりますと、来年以降の渋谷ハロウィンは飽きられて沈静化していくのか、それとも今の状態を維持し続けるのかというところが注目点の一つでもあるわけです。
いずれにしましても、地元商店街にとっては迷惑この上ないハロウィン騒ぎではあるわけでして、冥界から上がって来た小悪魔の「トリック・オア・トリート」と単なるイタズラでは片付けられない問題でもあるわけです。
中には、来年は仮装した姿ではセンター街へは入れずに封鎖したらどうかという過激な意見まで出て来ています。
池袋や川崎などでは商店街とうまく協力してイベント化ができているわけですから、なぜ渋谷だけがイベント化してコントロールができないのか、そこを考えていく必要があるのかもしれません。行政も予算だけ付けて丸投げでは何も解決できないでしょう、これまでの試みの結果がそれを物語っているわけですから。
「共存」か「排除」か、今が渋谷ハロウィンはその分岐点に立たされていると考えます。