How to Cosplay

友人にコスプレ衣装を作ってもらったら価格はいくら?

コスプレ衣装はすべて自作だった時代

今でこそ「コスプレ衣装は買うもの」と多くのコスプレイヤーが考えていると思いますが、コスプレ黎明期の当初はコスプレ衣装は売っている物ではありませんでした。全て自作で、自分で製作していたのです。

そのような中で、コスプレ衣装ショップ最古参のコスパが1995年にコスプレ衣装の販売を始めましたが、当時の価格は6~10万円とメインのユーザー層の学生にとっては非常に高価なものでもありました。このため、この時代ではまだ自分で制作することが主流ではあったのです。

ですから、当時のイベントで撮影されたコスプレ写真などを見ますと、衣装の品質は今とは比べものにならないくらいに貧弱なコスプレが多く見られます。いかにも素人の手作り衣装といった感じではありましたが、当時はそれがスタンダードでもあり、それはそれで仲間内の閉鎖的なノンビリまったりしていたコスプレのイベント会場でもありました。

コスプレ 歴史 ヒストリー

2000年頃のコスプレではメイクもソコソコで、コスプレ衣装も手作り感がまだまだあるのでした。

この当時、コスプレ衣装を購入してイベントへ行くのは邪道で、衣装購入派は自作派から白い目で見られてもいたのです。

自分で制作してこそ、キャラクターへの"愛"がある・・・と。

コスプレ衣装を友人に作ってもらう

元々コスパがサークルから会社へと立ち上がったのも、自作できるコスプレイヤーがレイヤー友達向けに衣装を作ってあげていたものを外へ向けてビジネス化したビジネスモデルです。

ちょうどWindows95の発売とインターネットの普及がこれを後押しします

 
コスプレを始めて最初は安い衣装を購入してイベントへ参加していますと、次第にコスプレイヤー友達も増えていき、中には衣装や武器を当然のごとく自作する友達もできてきます。

また、コスプレを続けていますと、通販で販売されている衣装ではクオリティ的に満足できなくなってきたり、販売されていないマイナーなキャラクターや派生のコスプレをしてみたいと思うようになっていきます。

ところが、マニアックなコスプレ衣装をショップへオーダーメイドすれば、衣装にもよりますが10万円はくだらないのが一般的です。スーツを1着オーダーすることを考えれば、まぁ当然の金額でもあります。それも既製のラインナップで型紙があり、サイズだけをオーダーで調整するのとはワケが違うのです。

フルオーダーとは、ゼロから1点モノを作り上げるのです。

そこで自分で制作が出来なければ、コスプレ衣装を自作出来るコスプレイヤー友達に制作を依頼することになるわけですが…

アイカツ! キングレオ コスプレ衣装

コスプレ衣装のお値段はおいくら?

いくら親しい友人とはいえ、タダで制作をしてもらうのはムシが良すぎる話です。
お店や通販で購入するのであれば、販売価格が決まっておりその価格と衣装の品質に納得が出来ればその金額を支払って購入、という流れになります。

が、個人相手ではいくらを支払ったらよいのかが判断つかないですよね。
もっともその友人は、それでビジネス(商売)をしているわけではないのですから、価格の相場というものも無いでしょう。

ですが、コスプレ衣装を製作するとなれば生地を購入しに行かなければ(交通費)なりませんし、その友人の時間と手間(技術)もかかるわけです。

かかる費用は、

  • 生地、資材代
  • 生地を買いに行く交通費
  • 製作時間
  • 技術料

ざっと挙げますと、こんなところの費用がかかっています。
ショップが販売する場合では、これに店舗費用と人件費や光熱費、流通費用に宣伝費、そして大事な利益が乗せられて価格が決まっています。

このショップが上乗せする分の価格が、個人製作だと安くなると考えればいいですね。

では、その金額はいくらになるのでしょうか?

  1. 生地、資材
    いわずもがな、これが無いと洋服は作れません。この他にもボタンやファスナーにバックルといった資材が必要で、一つは100円程度でもこれが5個10個となりますと価格を押し上げる要因となります。
  2. 生地を買いに行く交通費
    意外と見過ごされがちなのがこういったコストで、繁華街のオカダヤとかユザワヤや日暮里の繊維街へ出向くとそれ相応の交通費がかかります。実際に生地や資材を手に取って確認しながら選ぶ必要がありますから、通販だけではカバーできません。通販でも今は送料が別途かかってきますしね。
  3. 製作時間&技術料
    仕事の合間を縫って夜や休日などを使い製作しますので最低でも1週間、空き時間や衣装によっては2~3週間かかる場合もあります。これを時給換算するのは非常に難しく、個人相手ではこの部分の工賃の基準が無く算定しにくいのだと思われます。

つまりは、
生地・資材代+交通費+製作時間+技術料+気持ち=コスプレ衣装代として支払うべき代金

ということになります。

この衣装価格の相場、初心者コスプレイヤーさんだと馴染みが無いだけで、制作側には実は相場というものがあるのです。「技術料」や「気持ち」といった価格に転嫁しにくいものほど、相場が無いとトラブルの元になるからです。

「生地・資材」の価格は、コスプレ衣装の種類によって大きく変わってきます。この金額が大きいほどコスプレ衣装は複雑で手間がかかるものとなります、つまりは工賃も比例して上がるというわけです。

(生地・資材代+交通費)×1.5~2.0=というのが相場の目安です。

1.5~2倍という係数は、そのコスプレ衣装を製作してくれる人との友人関係の強さによって変わってきます。リアルで普段から食事に行くような仲だと低く、ネットやイベントのみの付き合いだと高くなります。

中には、「○○ちゃんの頼みだから生地代と交通費だけでいいよ、あとはご飯でもおごってくれれば」というコスプレイヤーさんもいます。が、コスプレ衣装はフリルやリボンなどが多く複雑な縫製処理を行わなければいけない箇所が一般の衣装よりもはるかに多くあります。

これらの衣装の複雑な部分はプロでも嫌がられる箇所で、パターンナーさんや量産工場では断わられることも頻繁にあります。

アイカツ! ローズボンボン コスプレ衣装

この係数を掛けた金額以下では、ただでさえ手間のかかるコスプレ衣装の製作、普通の衣類とは違うコスプレ衣装の製作をナメ過ぎです。次に依頼することも考えて金額は少し盛って設定するべきでしょう、ここでケチると二度と依頼を受けてくれなくなってしまいます。

かける係数が3倍を超えてきますと、お店で買った方が安くなってきます。コスプレ衣装のショップへの納入価、いわゆる下代が30~40%が一般的だからです。

文句を言う人には友人フルオーダーは向かない

ある時、自作派コスプレイヤーさんからtwitterで衣装の製作依頼を受けた人(交流は無い新規)から、何で交通費を取るんだと文句を言われたと愚痴られたことがあります。
交通費のような経費は、係数をかけた利益の中に入れるものだろう…と文句を言われたというのです。(交通費に係数がかかることに納得がいかなかったのでしょう)

逆に交通費を別に計上していますから、明朗会計だと思うのですけどね。
だって、そのコスプレ衣装の製作が無ければ日暮里の繊維街へは行かないわけですから。その分で使った時間も、(係数をかけて)算定をしなければならないのです。

交通費を経費として利益の中に含めれば、算出の根拠がウヤムヤとなりコストを回収するために係数が2.5倍とか3倍になるのですよ。その方が不明瞭で、価格の根拠が曖昧になると思うのですけども。

最後に一言、この計算で納得ができなければやめていただいて結構です、とバッサリ。
ごもっともなご意見です。売る側と買う側で価格を交渉し、双方が合意をすれば売買契約が成立するのが資本主義の原則ですから。

このように、コスプレ衣装製作を「お友達価格」でお願いする立場ですから、個人製作の場合のキャスティングボート(選択権)は制作側にあるわけです。それが少しでも納得できない場合、文句を言う人ではショップへ依頼した方が後腐れもなく良いでしょう。

仕上がりについても同様で、衣装に不満があればショップへ文句を言えば返品・返金や交換で対処してくれます。(一般的にフルオーダーは返品不可)
また金額や支払い、仕上がりなどで後から文句を言うことについても、トラブルになりますと後々気まずくなるというリスクもあるわけです。

SNSの普及により、誰もが簡単に発信することが可能となり、個人的なコスプレ衣装や造形の製作依頼も受け易くなっています。「お金」は一番のトラブルの元となりますから、製作に入る前から十分に話し合って決めておきましょう。

当然、コスプレ衣装の製作途中で思わぬ苦戦によりコストが膨らむこともありますから、予算は○万円以内でといったアバウトな決め方では無く、発生が予測されるケースに応じて細かく決めておく必要があるわけです。

ショップへフルオーダーを依頼すると

業務としてコスプレ衣装で1点モノのワンオフ製作をやる場合には、とにかくコスプレした時の再現性を優先して仕上がりを重視しますから、だいたいの予算は決めて開始をするものの、正直なところ変更がある場合の予算上限は無制限で依頼をしています。

ですから、もしこういった衣装を一般へ販売するとなると原価で10万円近く、販売価格は15万円以上もなってしまうようなコスプレ衣装が出来上がってしまいます。その代わり、実在のアイドルが着てもおかしくないような細部の美しさと耐久性を持っており、クオリティは最高レベルとなります。

中にはものすごいマニアで、お金は10万円以上いくらでも出すからどこにも売っていないこのキャラクターの衣装を作って欲しい、という人もいるわけです。

昔、コスパで販売されたエヴァンゲリオンのプラグスーツ、限定受注生産のフルオーダーで60万円でしたから。これを購入するのは、どちらかといいますとコスプレイヤーというよりも、フィギュアなどと同じコレクターです。

コスパ製の衣装の購入者は、高価なことからもコスプレイヤーではなく、飾って楽しむコレクターの方が多いと言われています。


 

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