安くて再現性の高いコスプレ衣装を探しています
高品質なコスプレ衣装を少しでも安く手に入れるには、どうすればいいのでしょうか?
その前に、少しだけコスプレ衣装の歴史をお話しします。
コスプレ衣装の販売には、インターネット元年の'95年~個人受注の時代、'00年のYahoo!オークションの登場でヤフオクの時代、そして'05年頃~ヤフオクへの中国業者の乱入による価格崩壊で低品質化、そしてブランド重視で独自ショップを開業する時代へという歴史があります。
この05年頃からヤフオクへ低品質なコスプレ衣装が大量に流入したことで、ヤフオクに対する信頼が著しく低下した結果、06年あたりから同オークションでコスプレ衣装が全く売れなくなります。ある程度の品質がある業者・サークル製の衣装と中国製の粗悪衣装とが入り交じり、区別がつかなくなったためです。(写真の盗用などは日常茶飯事)
それまでは優良だったサークル製も、価格競争に巻き込まれ日本国内製から中国へと生産委託を移し、価格とともに品質も低下していったのでした。
このヤフオクのコスプレ衣装が信頼を失ったことで、中国業者は'07~'08年付近に次々と独自ドメインによるオリジナルブランドのショップを立ち上げてきており、今皆さんが購入している中国系の店舗が出揃うことになります。
これらの通販ショップでは独自ドメインで受注すると同時に、Amazonや楽天・Yahoo!ショッピングといったモールを利用している場合があります。
ショッピングモールに見切りをつけ始める"ブランド"
先日、次のような記事が話題となりました。
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「23区」「自由区」などを展開する老舗アパレルのオンワードが、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」から撤退した(らしい)という内容です。
(ちなみに前澤社長はこの記事をtwitterで批判、事実と異なるとしています)
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オンワードに続き、ミキハウスも出品を見合わせており、その他にも「メンテナンスのお知らせ」が表示されるブランドがあるという報道です。
撤退の理由として、
- 値引きが恒常的に行われることでブランド価値が毀損する
- 直営店舗との2重価格が生まれてしまい不公平が生じる
- 売り上げ全体からゾゾタウンへの依存度が低い
- 安価なブランドと並べられることで、価格のみで比較される
このレッドオーシャン化した状況は、そっくりそのまま今のコスプレ衣装の通販にも当てはまるのです。
レッドオーシャン化
ネットモールのコスプレ衣装は本当に安いのか?
ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の話題はレッドオーシャン化するネットショッピングモールの弊害を表わしているもので、ここではひとまず置いておきます。
ショッピングモールの利点は、人が集まるという点に集約されます。その反面、否応なく価格競争に引きずり込まれるという点に問題があります。
楽天にしてもAmazonにしてもYahoo!ショッピングでも、検索一発で同じような商品の一覧から探すことができて、価格も容易に比べられるからです。
消費者からすれば、競争で安くなるのは願ったり叶ったりで喜ばしいことではあります。しかし同じメーカー製であれば同一品質であることから、安い方が消費者のメリットも生まれるのですが、コスプレ衣装の場合には少し事情が異なります。
それは、ちまたで販売されているコスプレ衣装は、品質が一定ではないという点です。リアル店舗で購入するのであれば、実物を手にして価格相応かどうかを自分で判断することができますが、通販では実際に手元に届くまではその品質が確認できないのです。(そして多くの場合、返品は不可となります)
その品質が一定ではないコスプレ衣装の場合、競争により価格が落ちた分は品質を落とすことで安易に対応が出来てしまうのです。
具体的な一例をあげますと、「賭ケグルイ」の百花王学園制服を某コスプレショップが販売を予定しています。弊社で作ったシルエットを、そのまま流用するそうです。
ところがそのショップでは価格を低く抑えたいそうで、コストダウンの部分は
- 裏地を抜く
- スーツ専門の縫製工場から縫製単価の安い別の工場へ
- 生地の品質を安いグレードへ落とす
- 試作を行う必要が無い
というような内容で、1箇所ごとに500円1000円と原価を落としていきます。
これにより、衣装にはシワが寄りやすくなったりシルエットが保てなくなってくることがあります。このコストダウンが行き過ぎますと、見た目にもコスプレとしては安っぽくなっていくわけです。
サンプル写真を見れば品質はだいたい判断できるじゃないかと思うでしょ!?
- 届く衣装はそのサンプル写真とほぼ同じ物(同生産ロット)ですか?
- サンプル写真はそのショップが撮影した物ですか?
- 在庫を持ち即発送ですか?(受注生産の可能性)
この部分を常に注意しながら、サンプル写真は見る必要があります。
それに、写真などは(自分で撮影していて言うのも何ですが)いくらでも修正は可能ですし、撮影方法によってシルエットや品質を良く見せることは容易なのです。
他のショップやオークションサイトでも同じ構図の写真を見かけたりするような場合には、自前で在庫商品を持っていない(商品をスルーパスさせるだけ)ことが考えられますので、品質の確認をしていないことを疑ってかかる必要があります。
注意ポイント
在庫を持たず、中国で日本よりも安く売られているコスプレ衣装や武器/アクセサリーを購入、日本の市場価格に合わせた値段で販売することです。個人が出品可能なヤフオクやAmazonで転売、この転売差額が利益になります。在庫リスクが一切ない、出回っているあらゆるコスプレ衣装が商品対象になる、中国と日本の距離からクレームをつけにくい、などのメリットがあります。サンプル写真がどこかで見た構図(在庫が無いため自前で撮影しない)であったりと、盗用の可能性があることで見分けられます。
安いコスプレ衣装には必ずワケがある
コスプレ衣装においてキャラクターの再現性や細部のクオリティにこだわった場合、そのこだわった箇所ごとにコストが発生していきます。それはすなわち、衣装の価格が上がっていくことに直結します。
その他にコスプレ衣装にかかるコストとしては、生地代や縫製代だけではありません。
- 試作にかかるコスト
試作はフルオーダーと同じで、さらに納得いくまでリテイクすればそれだけコストは増えます - 在庫の保管コスト
高品質で低価格とするには大量生産が必須、保管場所代がかかります - 在庫リスク
作品の人気/不人気に不良在庫が大きく左右されます
安いということは生地やシルエットの品質や縫製精度が下がるだけでなく、こういった運営に関する部分が大幅にカットされているということになります。つまりは、大量生産ができないコスプレ衣装においては、キャラクターの再現性やシルエットと低価格は両立しない(できない)ということになります。
ポイント
コスプレ衣装の「安い」には2つあります
ネットショッピングモールへ出店するメリットは、ネット黎明期('90年代~'00年代)に知名度の無い店舗や会社がある一定の信頼を得るためには有効でもありました。このため、集客においても高い手数料は意味があったのです。
ところが時代は変わり、独自ドメインで通販サイトを運用する技術的な壁やコストは大きく下がっています。さらに小規模な事業者が通販を行う際でも、「楽天」や「Amazon」のようなブランドに頼る必要性は小さくなっています。
そんな時代に、ショッピングモールが商品価値を無視した値引きや価格競争を煽るのであれば、そこに賛同できないショップ(企業)は撤退していきます。ましてや価格のみの比較では、ブランドの構築(=高品質化)は望めないのです。
そうなってきますと、ショッピングモールへ出店しているコスプレ衣装では、独自の特徴を持つ衣装から抜けていくという動きが十分に考えられるわけです。そのような動きが加速すれば、ショッピングモールに残るのは劣化コピー(低コスト)を繰り返し価格以外に訴求力の無い出涸らしのコスプレ衣装ということになってしまいます。
つまるところ、多くのコスプレイヤーさんが求める「安くて品質が高い衣装」、すなわち「コスパの高いコスプレ衣装」は、高い手数料を余計に取られているショッピングモールには無いということになるわけです。
「安い」というモノには2つの意味があり、1つは
■ 素材を安く縫製に手間をかけない、安っぽく見えて壊れやすい
という「安物」です。
立体的では無く平面的で再現性がイマイチであったり、縫製が甘くすぐに壊れてしまうようなコスプレ衣装がこれに該当します。年に1回ポッキリのハロウィンや忘年会の余興のコスプレ衣装などは、こちらでもよいでしょう。
もう一つの「安い」は、いわゆる「お得な衣装」です。
■ 再現性や品質に対して安い、持っている(飾ってある)だけで楽しい
というモノです。
一般的にコスプレイヤーは通年を通してコスプレを行い、同じ衣装やキャラクターをイベントや撮影で何回かは使い回します。このためコスプレ衣装は複数回の使用に耐えられなければならず、その点がハロウィンや忘年会の余興のコスプレ衣装とは異なります。
その上で細部の再現性や立体的な組み立てがきちんと行われており、衣類として機能する衣装を求めていきますと、大量生産品では無いコスプレ衣装ではユニクロなどとは異なりある程度の価格は覚悟する必要があるわけです。
さらに最近では、メルカリなどで個人の再販も可能となっており、リユースも考慮に入れるようになってきています。コスプレ衣装の下取りまでを考えたコスト計算を行うことで、再現性の高い衣装を求めつつもトータルコストを下げる方向で選択を行うべきです。
コスプレ衣装における安い衣装とは?
今回のテーマである安く高品質なコスプレ衣装というのは「お得な衣装」ということであり、低価格とするためには
- 大量生産で1着あたりのコストを下げる
- 店舗、人件費コストを下げる
- 広告費を削る
衣装本体以外で価格に反映される部分のコストを下げる他に、手段はありません。
これらを行っているコスプレ衣装ショップの衣装が、品質に対して安いコスプレ衣装ということになります。これは、低価格帯も高価格帯でも変わりはありません。すっと簡単に見つかる衣装より、検索で探しまくった衣装の方がコスパが高いコスプレ衣装が見つかるかもですね。
格安でそれほどクオリティを要求されないコスプレと、すごくお気に入りのキャラでハイクオリティにこだわりたいコスプレ、イベントや撮影のシチュエーションによりコスプレ衣装を使い分けて選ぶといいかもしれません。そのような「選択が出来る」という環境も、大切な事ではあるのでした。
メルカリなどを利用してリユースを含めたハイクオリティ衣装の購入選択、コスプレ衣装の通販において何度か変遷してきた時代の変革の大きな波が再び来ているのを感じるのでした。